2024/02/08

ボートの三人男

 19世紀末の天然ボケ珍道中

 時は十九世紀末、ヴィクトリア女王おわします頃の英国は倫敦。霧は晴れず湿気は多く、うだつは上がらず、退屈で憂鬱な毎日。そんな日常に飽き飽きした3人の男達(と犬一匹)が2週間の休暇を取ってテムズ川下りのボート旅行に出かけることに…

 100年以上も前のお話ですが、当時の人がやってることと現在も変わらないような気がします。さすがに風俗習慣は違うし、気取り屋の英国紳士くささが鼻につくこともあるのですが、やはり根底にあるのは変わりません。部屋でもくもくと煙草を吹かしているくせに「最近、体調が良くない」とこぼしたり、慣れない旅行支度にてんやわんやの大騒ぎをしたり、あれほど準備したのに缶切りがないやら、「朝食にはフライパンが要るな」と言ったら「フライパンなんて食べられない」と馬鹿を言う奴がいたり… いつの時代にも天然ボケというか、馬鹿な仲間というのはいるものなのですね。作中の変なエピソードのほとんどが本当にあった話だと作者は言っているそうです。それでも、劇作家である彼は美辞麗句をもってテムズの風景を描こうとしたりしていて、創作エッセイというような雰囲気をかもしだしているのです。

 言葉が古いのと、英国人のユーモア感覚に慣れないとちょっと辛いかもしれないですが、たまに変わった本を読んでみたいという人におすすめです。

(ジェローム・K・ジェローム,中公文庫)

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