2024/02/04

戦慄のシャドウファイア

 「読ませる」王道を行く

 ベストセラー作家であり多作でもある彼の作品の中でも、一番読みやすいのがこれです。わかりやすいプロット、そしてスピーディーな展開。適度なスリルとサスペンス。単純に説明してしまいましたが、シンプルな話であるほどストーリーの味付けは難しいはずです。それでも作者は見事に「読ませて」くれるのです。離婚成立直後に起こった事故で、主人公は夫の死を目の当たりにします。イヤミでしつこい性格ではあったけど、非凡な生物工学者であった夫の変わり果てた姿に一時は茫然自失となります。それでも、自分の新しい人生を歩もうと決心した直後に、「死体が無くなった」との知らせが。あれはどう見ても確かに即死だったはず。生き返るわけがない…

 肝心なのはこの「シャドウファイア」です。一種のバラしタイトルなのですが、「あいつ」が主人公を追いつめようとする執念の裏にあるのは何なのか、と頭の隅にでもおいておくと良いでしょう。それは、作者クーンツのよく扱うテーマで「どぎつい」とか「やりすぎ」という批判のタネとなりやすいものなのですが、カタルシスにとどまらないクーンツの人間性の語りかけといってよいでしょう。

 この物語は、いつ映画化されてもおかしくないのですが、まだのようです。映画化されるのを待つよりはぜひご一読を。絶対に損はさせません!

(ディーン・R・クーンツ、扶桑社文庫)

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