大陸の嵐、雨と風と漢(おとこ)たち
史上初めて中国全土を統一した男、始皇帝。しかし彼もまた一人の人間に過ぎず、その命がつきた時、次に大陸を担う者に席を譲った…時は紀元前2世紀、大きな嵐がやってきたのです。
有名な歴史小説家、司馬遼太郎の書くところの楚漢盛衰記は人物の描写に始まり、当時の社会制度や思想、文化に至るまでとても内容の濃いものとなっています。
ふつう中国の歴史小説といえば「三国志演義」ですが、私はヘソ曲がりなので「白黒はっきり分かれている」項羽と劉邦の物語を選んだのでした(余談ですが、私は日本史においても、戦国時代より源平の時代が好きなのです)。
美丈夫にして、名高い項燕将軍を叔父とし気性は激しく武に秀でた項羽、かたや田舎の泥臭いでくのぼう、されど人に慕われ和をもって将となった劉邦。対照的な二人の全く違った生き様が交錯しながら、激動の時代の嵐となっているのです。始皇帝なき後、倒秦のために立ち上がった二人を嵐とすれば、項羽は激しく地を打つ雨、劉邦は駆け回り地を馴らす風だったと言っていいでしょう。そして、二人を取り巻く人間模様。漢(おとこ)たちがそれぞれ嵐になって強力な秦に挑んでいきます。一方、秦も簡単には攻め落とされる訳がありません。迎え撃つ秦の司令官もなかなかの知恵者です。彼が秦の最後の希望でもありました…
そして話は秦が倒れた後に移っていきます。そして、漢はどうやって張楚に代わったか、なかなかに読み応えがあると思います。
歴史小説は感情移入しだいで読み進め方に違いが出ます。項羽または劉邦のどちらか一方を応援するように読むといいでしょう。ちなみに私は項羽のファンでして、「カッコいいのに損をしている英雄」というところが好きなのです。でも、怒らせると何をしでかすかわからないところも短気な私に合っているような…恐いな。
(司馬遼太郎,新潮文庫)
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