知りすぎてしまうあまり、わからないこと
可能な限り、誰もが自分の未来を知りたがっています。でも、自分の運命を知ることが必ずしも良いことなのでしょうか…「予知能力」をテーマにした物語はたくさんあります。その中でもこの作品は異色で、なるほど鬼才スティーブン・キングらしい出来映えです。
交通事故で数年もの間昏睡状態だった主人公が目覚めた時、今までにない2つの現象が起こったのです。1つは、肌が触れた人間の未来を見通す力で、もう1つは何らかの条件でその未来が感知できないというものです。きっと誰もがそうであるように、主人公はその能力を控えめにしていきます。どんなに隠し通そうとしても、どうしてもそれは多くの人に知られることになるからです。
必ずしも全ての人が持たない能力であればこそ、有効に活用されるべきかもしれませんが、主人公にとってはただ、失われた日々を取り戻し、静かな生活を送りたいだけなのです。しかし、マスコミや心ない人々が主人公を揺さぶります。たとえ連続殺人犯を見つけだすとか、悲惨な事故を未然に防いだりというように予知能力でもって人々に貢献できることをしても、やはり主人公に心の安定は来ないのです。キング氏の作品で、超能力を扱った作品はこういった点をうまく表現しています。
そんなある日、主人公は一人の男と握手をします。その男が権力を握るとき、どんなに恐ろしいことが起きるのかを知った主人公はとある決断をします。でも、主人公の取った行動が如何なる結果になるかだけは「デッドゾーン」にあり、知ることができないのです…
この作品は映画化されています。読後に見比べてみてはいかがでしょうか。
(スティーブン・キング, 新潮文庫)
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