古代中国のシステムエンジニアたち
古代中国に実在した思想集団「墨家」。その特異な教義のもとに集まった人材は春秋戦国の世において珍重されることとなったといいます。質実剛健を旨とし、利他的で自分を犠牲にすることもいとわないという性格はキリスト教と比較されたりしました。
さらに、墨家は技能習熟に励み惜しげもなくそれを教えるといった、まるで技術者の鑑のような人たちだったのです。当時は戦乱の時代だったので、戦闘技術、それも防御戦においてとても優れた戦術を編み出したのでした。「墨守」という言葉が今でもあるほどですから、墨家の守る城を攻め落とすのは容易ではなかったのでしょう。
これは、ある墨士が赴いた城での激しい攻防戦を通して、その凄まじいまでの生き様を描いた物語です。昨日までは敵の襲来におびえていた一般市民でさえ、彼の指導のもとにだんだんと一個の兵隊に変わっていき、士気もあがっていきます。読み進めて行くにつれ、ふと自分の職業に通じるものを感じていました。コンピュータによるシステム開発というものも、いろいろな人が集まり、有用な機能を持ち効果的な運用ができるよう目標に向かって地道で忍耐強く努力を積み重ねることによって成立します。システムエンジニア見習いとして働いている私にとってはとても身につまされるほどに感じられてなりませんでした。
私も彼のように役立つ技術者になりたい… とは思ったのですが、とても彼ほどに動き回れそうにはありません(あっという間に過労で病院行き)。でも、せめて某OSの関係者にはこれぐらいは頑張ってほしいですね。(^_^;) いや、シャレでなく。
(酒見賢一,新潮文庫)
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