2024/02/24

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

 感情と共感の曖昧なニンゲンたち

 映画「ブレードランナー」の原作としても知られるこの作品ですが、映画では描ききれなかった部分が数多く見受けられ、設定もかなり違います。映画公開当時、中学生だった私はミーハー気分で見に行き、重いテーマにぐったりとなった思い出があります。それでも、もっと良く知ろうと原作を手に入れ、読み…さらにぐったりとなりました。中学生の私は、まだ「人間らしさ」についても考えたこともなかったのですから、少し難しすぎたのでしょう。

「人間らしさ」と「人間そのもの」の違いをどこで見分けようとしているか、「人間」と「人間でない」の境界線はいったい何か…そして、自分自身ははたして「人間」なのか? このようなジレンマを作者はうまく表現しています。今まで現実だと信じて疑わなかったことが嘘だったり、決まりきったルールが徐々に崩れていくような作風がさらに雰囲気を盛り上げています。

 逃亡したアンドロイドたちを狩る、いわば賞金稼ぎである主人公は、とある女性型アンドロイドに好意を抱いていることに気づきます。そして、「人間らしく生きたい」と願うアンドロイドたちを「処理」していることに戸惑いを覚えはじめるのです。皮肉にも、アンドロイドと人間を見分ける判別法は「感情移入」を利用したものでした。主人公はアンドロイドへの感情移入度を測るため、アンドロイド判別検査を自分に行うのでした…

 この本を読むのは、ちょっと骨が折れるかもしれません。読む前に、「ブレードランナー(それもディレクターズカット版)」を見ておくことをすすめます。原作のあらすじとは全然違うのですが雰囲気をつかむ程度で構いません。

 この物語のキーワードは「感情移入」だと思います。この物語にどれだけ「感情移入」できるかが、読み進めるカギとなるでしょう。

(P・K・ディック、ハヤカワSF文庫)

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