2023/11/28

指輪物語

 前人未踏の創造世界

 もともとは息子たちに枕元で語って聞かせるための物語でした。ちょうど神話学や古い民話、伝承といった分野に明るかったトールキン先生はいつしか世界を、そして壮大な叙事詩を創り上げてしまったのです。「中つ国」と呼ばれるこの世界は、まだこの世が人類だけではなかった頃ということなのです。妖精やドワーフ、魔法使いに龍といった空想の世界ではあっても、人間が想像している限り、存在しているという前提で読み進めていきましょう。

 恐るべき力を秘めたひとつの指輪。それは遙かな昔から続く戦いの勝敗を決することにもなるので、指輪の存在を知る者は皆それを探し求めていた...

 そんなある日、のどかなホビット庄で名士であり変人のビルボ・バギンズ氏の誕生パーティが行われることになったところからこの物語は始まります。まあ、ホビットについては物語の最初に必要十二分な解説編がありますからそれを読んでいただくとして、とりあえず飲んだり食べたり騒いだり遊んだり歌ったり楽器を弾いたり踊ったり居眠りをしたりおしゃべりをしたり、お気楽極楽なことが大好きなホビットがどうして「ひとつの指輪」に関わっていくのかにお付き合い下さい。人によっては「冗長で物語全体が整理されていない」とか「固有名詞が多い上に文中用語なども特殊すぎる」と言われますが、もはやこれは叙事詩なのです。すべてを知りたいなら読むしかありません。

 何はともあれ、これだけの世界を創り上げたというのは事実ですし、そう簡単なものではなかったはずです。古いケルトの言葉を元にエルフの言葉を考案し、さらには書き文字まで作ってしまいます。見えないところまで気を使い、徹底して雰囲気を出そうとした作者の努力は評価されてしかるべきです。アメリカでは「ガンダルフを大統領に!」なんていう運動(たぶん半ば冗談、半ば本気だったと思う)があったそうですが、それだけの説得力を持った創造が行われたのは事実です。

 この物語の世界はとても広大です。私は読み進めながら、その世界の広さに心ひかれました。あまりにも広すぎて、半月ほど旅をしても誰にも会うことがない土地が広がっている...狭い日本では、そうお目にかかれない光景です。物語を読み進めながら世界の広さを感じているものの、それは本を読んでいる自分自身の想像力の広がりを再認識しているのかもしれません。長い長い物語の広い広い世界は、読む人の想像力に比例する、といったところでしょうか。
(J・R・R・トールキン,評論社)

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2023/11/27

Video Capture Board: Canopus Power Capture PCI

 その後の「キャプチャが出来ない/キャプチャしたファイルが再生できない」(100% 解決)

「DirectX 6.0 を入れているところへ試しにDirectX 5.2 をインストールしてみると、問題なく再生/記録が出来ました」ということで、障害は緩和したことになっていましたが、その後再びキャプチャ記録/再生不能になってしまったのです。DirectX 関連のインストールもしていないのに、ちょっと変です。そこで、キャプチャできた状態から大きく変化した点はなかったか?

 ありました、ちょうど数日前に PCI の LAN ボードに換えてたのを思い出した私は、早速 LAN ボードを外して再起動し、キャプチャを試みたのです… が、やはり駄目でした。でも、何か手がかりはないかとデバイスマネージャを開けて IRQ の状態を見てみたところ、キャプチャボードの IRQ が SCSI ボードと共有されていることに着目しました。それは LAN ボードを外しても、キャプチャボードの状態が何ら変わらないということです。もし、IRQ を共有させずに単独の IRQ を振ってみてはどうだろうか?

 やはり何事も試してみるに限ります。キャプチャボードを別の PCI スロットにセットし直したりして(Plug&Play ってこういう時不便ですね)IRQ を配置を移し、キャプチャを行ってみたところ、成功! DirectX 6.0 でも支障なく動作する上に、先程の LAN ボードをセットしても、キャプチャボードの IRQ が単独である限り何も問題はありませんでした。

 実は、メーカーにメールで問い合わせようかと思っていたのですが、自力で解決してしまいました。疑ってしまってすいません>Canopusさん

あと、ほんの一瞬とはいえメインボードをも疑っていたのでこちらもすいません>ASUSTekさん

 あ、一応 DirectX にも嫌疑をかけていたのですが、Microsoft には過去の DirectX でさんざんな目に遭わされたことがあるので何も申しません(まだ貸しがあるとさえ思っています)。しっかりと肝に銘じること>Microsoft

2023/11/26

ファンタズマゴリア

 時には、旅行をしませんか? ~走馬燈星への誘い~

 本当は、ゲームと言えないのですが、ついついあちこちをクリックをしたくなってしまう良くできた画集です。架空の惑星ファンタズマゴリアのあちこちを訪問するという形で、ファンタズマゴリアに住むいろんな人や動物、いろんな名所などが QuickTime で収録されています。

 この画集の面白いところは、この名所の映像が何種類か入っているので、何度か訪れないといけないところです。朝・昼・晩で違っていたり、晴れの日もあれば雨の日もある。誰もいない時もあれば、たくさんの人で賑わっていることもあるというように、色んな風景を見せてくれます。本当の旅行できょろきょろするように、珍しいものを探して画面のあちこちをクリックしてしまいます。

 たむらしげる氏の絵には独特の質感があって爽やかな色使いが多いのですが、これは原画をいったん 256色ほどに減色してプリントアウトし、もう一度データに取り込んでいるそうです。だからアナログな色使いとデジタルな質感がほどよく混じっているのでしょう。実はたむら氏の作品はけっこうTVなどでよく使われています。シチューのCMやバラエティ番組のオープニングなど、「ああ、これは見たことある!」と気づく人も多いのではないでしょうか。

 最後に、このソフトは Windows98以降 ではなぜかうまく再生できず、変な再生画像になってしまいます。QuickTimeの仕様が変わってしまったみたいです。こんないいソフトがうまく動かないなんてもったいないです。ぜひとも修正プログラムか改訂版を出してほしかったのですが…
(TOSHIBA EMI, Win95・Mac)

2023/11/25

アルジャーノンに花束を

 はかないだけに、いっそう輝くように

 もしあなたが、頭脳明晰になれるとしたら? 知らないことを知り、わからなくていいことまでわかってしまうとしても…

 知能障害の治療の実験台として、主人公ゴードンは手術を受けます。別にダマされてではなく、ちゃんと「しじつをうけたい」と本人の希望をかなえるためです。はたして手術後の経過は良好で、同じ手術を受けたねずみのアルジャーノンと比較しても彼の知能は向上しています。でも、誰も予想していないことが起こってくるのです。

 ゴードンの知能が上昇するにつれ、彼の中で芽生える意識、感情、欲望、自我の確立などについては誰も対処できません。それは、ゴードン自身で解決しなければならないのです。自分を実験対象とみなされていることに複雑な思いを抱き、初めて感じる異性への憧れに戸惑う彼にとって、人間同士が互いに心を通わせることが複雑であることを痛感します。急激な知能の発達に伴い、心の成長も性急に行わなければならないのです。

 現実の世界においても誰もが人間関係の複雑さに頭を痛めていますが、ゴードンの苦悩に比べればどうでしょう。幼い頃から人とふれ合い、色々な感情と接して、成長してきた私たちもまた完全ではないと言われているような気がします。私たちは子供のように無知で純粋でいられる訳はなく、悪あがきのように生きているとしても、素直になることが意外に大切なことではないでしょうか。知能とは別の、精神(こころ)の中にいる自分自身をちょっといたわってあげることも時には必要なのかもしれませんね。

 余談ではありますが「レナードの朝」という映画をご存じですか? この映画は実話を元にしているのですが、なんだか「アルジャーノンに花束を」の筋書きに似ているような気がするのです。脚本とか、演出とかで影響を与えているのでしょうか? あ、もちろん「アルジャーノンに花束を」もすでに映画化されています、念のため。
(ダニエル・キイス,早川書房)

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2023/11/23

データ育成

 活用するためにはまずデータの入力からです。あちこちの紙きれや手帳、ディスクの隅に書きとめておいた友人知人の連絡先をまとめます。私の扱うデータぐらいなら Pocket Outlook で充分でした。そして、およそ半年前から手帳に約束事やスケジュールのメモを取るくせをつけていたので、予定表や ToDo リストの機能があることもかなり助かります。備忘録は Pocket WZ Editor のメモ機能を利用しました。Pocket WZ Editor はとても便利なので WindowsCE ユーザーにとって必携でしょう。

 ここで、少し気になりだしたことがあります。IME の変換効率が良くないのです。辞書メンテナンスもできないし、単漢字変換でもうまく出せない字があるなど、ストレスがたまるので ATOK Pocket を導入しました。やはり定評のある ATOK は Windows9x/NT 版に比べやや機能は落としてあり、辞書の容量だけメモリを消費しますが MS-IME とは格段に使いやすいので良しとしましょう。

 次に、ネット接続のための準備をします。ダイヤルアップとメール送受信(メーラーはもちろん Pocket WZ Mail です)の設定を行い、電話線で接続してみます... わりあいスムーズにいきました。さらにインターネットを巡回してみると、一部のホームページ、フレーム機能を使っているところうまく表示されないのです。

 Pocket Internet Exproler が HTML4.0 に準拠していないというのは大至急改善してほしいと思います。けっこう致命的だと思うのですが... 掲示板へ書き込めないとか、プラグインに対応していないのも、全く感心できません。

2023/11/22

ギャラクシアン

 シューターの誕生

 世界で最も知られているビデオゲーム「スペースインベーダー(*1)」が大変なブームを巻きおこし、社会現象となっていた頃、私はまだ小学生でした。もちろんおこづかいは貴重だったので、うまい人のプレイを後ろから覗きこんでばかりでした。時にはプレイすることもあるのですが、やはり長続きしませんでした。

「スペースインベーダー」には一種の時間制限があり、コンスタントに倒していかないとゲームオーバーになってしまいます。「攻めてくる敵を倒す」という爽快感はあっても、せきたてられるのが私の不満でもあったのです。そこへ現れたのは流れる星空をバックにした「ギャラクシアン」です。単調なインベーダーの動きとは違い、曲線を描きながら多彩な攻撃を行うエイリアン。(当時としては)凝ったサウンドエフェクトに(8色とはいえ)カラフルな画面。貴重なはずのおこづかいはますます消えてしまいました。しかしながらここに、一人のシューティングゲーマーが生まれたのです。

 色々なゲームが遊べる今になっても、やはりシューティングゲームの新作を見つけるとわくわくしてしまいます。敵陣に単身で乗り込み(*2)、迫りくる数々の敵を撃ち破るというシチュエーションは人間の闘争本能を刺激してしまうのでしょうか。

*1: ローカルなネタですが、沖縄で一部の世代が「名古屋撃ち」のことを「わじゃ(技)」と呼んでました。今でいう「ウラ技」のことですが、現在では「ちょっと気のきいたこにくらしいテクニック」というニュアンスの言葉として現在でも通じています。こんなルーツ知らない(または忘れた)人がほとんどなんでしょうけどね。

…あ、「名古屋撃ち」も知らないなら聞かなかったことにしてください。

*2: まあ、残機(リザーブ)があるから、本当の意味で孤独なファイターというゲームは少ないですけど。

※「ナムコミュージアムVol.3」がAmazonで注文できるようです 

2023/11/21

暗殺者

 「自分」を知る危険な旅

…おれは、誰だ?

 記憶喪失に陥った一人の男が、僅かな手がかりから自分自身を見つけだそうとします。でも、それは非常に危険なことだったのです…ありがちなパターンかもしれませんが、物語はとてもスリリングな展開を見せます。最初の映画化は失敗だったみたいですが、「ボーン・アイデンティティー」として再映画化された時は大ヒットしました。

 作者ロバート・ラドラムは数々のベストセラーを世に送り出していますが、「暗殺者」は屈指の出来映えです。国際的陰謀と暗躍する謎の組織、息をもつかせぬアクション、二転三転するプロットなどなど、面白いとこばかりなのです。

 主人公は自分が何者か、何のために記憶を無くしたのか、自分自身を少しずつ取り戻していきます。自分を突き止めて行く主人公を、敵はとうとう発見してしまいます。さらに、主人公の記憶喪失というアクシデントを知らない味方までもが、彼を裏切り者として追い始めるのです。危険なこととは知りながら、自分自身のために彼は渦中へと飛び込んで行かねばならないのです。

 誰もがそうだと思います。「私は何者なのか」と。たとえ総てを失ったとしても、僅かな手がかりを頼りに新しい自分を始めればいい。もしも自分を取り戻しても、今まで努力してきた自分もまた自分なのだ…

 この「暗殺者」には続編があります。あえてシリーズものとして紹介しなかったのか知りたければ、まずこの「暗殺者」を読んで下さい。もしこれで満足できれば、もはや続編の必要はないと判ると思います。映画の方でも続編は出ましたが、原作とは全然違ってましたし。
(ロバート・ラドラム,新潮文庫)

※Amazonでは古書のみの注文となります

2023/11/20

始まりの接続

 同じ会社で派遣先が違う後輩のS君。好奇心は旺盛だが、ややせっかちなのが玉に瑕。
すべては、後輩S君が「周辺機器を動かしたい」という相談から始まりました。

 なんでも、S君の現場で古い CD-ROM ドライブや MO ドライブ、さらに、PC-9801 用の古い SCSI ボードまで揃って捨てられそうになっていたところを譲ってもらったのだそうです(いいなぁ、どんな仕事先なんだろ)。ところが接続してみるとメモリのカウント後に止まってしまうというのです。

  • 周辺機器に不具合があるのか?
  • SCSI ボードに何か不都合が?
  • PC-9801BX 本体の問題か?

 まず、周辺機器の電源や接続方法を確認し、起動時に認識のランプが点灯することを確認しました。次いで、SCSI ボードだけを本体に接続し周辺機器は外して起動すると、何事もなく動作します。これで、本体との接続にも問題ないことを確かめました。

 では、なぜ接続すると止まってしまうのか? 運良く周辺機器のマニュアルがあったので開いてみると、「SCSI-1 では動かない」との記述が。そこで、SCSI ボードを調べてみるとどうも SCSI-1 のようなのです。

 この辺でS君いわく「じゃあ全部ダメなんですか?」せっかちなS君は結論を出そうとしますが、取りあえず新しい SCSI ボードを手に入れれば動かないこともないと説明すると、「じゃあ買えば動くんですね!」とがぜん乗り気に。でも、ちょっと待った!

 もうひとつだけ確認しないといけないことがあります。それぞれの周辺機器のドライバはあるのかと聞くと「ありません。ゆずってもらう時にも探したんですが見つかりませんでした」とのこと。うーん、それじゃあ難しいな…「じゃあ、動かないんならクズ鉄と同じですね!」

 せっかちだなぁ、S君。ふとした拍子でドライバが見つかるかもしれないじゃないか。
何事も調べようよ…

2023/11/19

Wizardry

 コンピュータRPG黎明期の傑作

 迷宮探索型RPGの老舗である Wizardry の歴史は古く、30年以上になります。多くの機種に移植され、世界中に多くのファンを持っています。Wizardry については多くの人が語っているので、ここでは、私が遭遇した事件をお話しします…

その名も…

リルガミンの悪夢 ~The Hazard of Innocent~

 ファミコン版 Wizardry2「リルガミンの遺産」で遊んでいた頃に起こった本当のお話です。デートのお誘いを受け、ふらふらと出かけてしまった日曜日に事件は起こりました。せっかくデートに誘われたのに、頭の中に完成間近のマップがちらついて彼女の言葉もうわの空、1時間程度お茶を飲んでそうそうに帰宅しました(今思えば、このせいで天罰が下ったのでしょう)。ゲームを再開しようとすると…

ん、ドクター○リオ? ファミコンに見慣れぬカセットが…?

 私のいない間に従弟が遊びに来ていたようです。借りていく代わりに別のソフトを置いていったのでしょう。当時、この従弟は小学1年生。説明書もなしに Wizardry を遊ぶには無理があるはずです。多少戸惑いを覚えたものの、大事なデータを見殺しにできないということで無理矢理叔父の家を訪ね、カセットを返してもらいました(身代わりのドクターマ○オも返しました)。たぶん叔父はたかがゲームに意固地になる変な奴だなと思ったことでしょう(++;)

 しかし、不安なあまり1ヶ月近くもゲームを再開する勇気が起こりませんでした。従弟に尋ねることもできますが、ろくな答えしか返ってこないことは目に見えてます。悩みに悩んだあげく、ゲームを立ち上げました。すると…

  • 精鋭部隊(6名):全滅
  • 救出班(4名):全滅
  • 別働隊(6名):生存者2名

 しかも、死亡者の全員がほとんど武器も防具もなし。さらになぜか転職している始末。そして、死亡箇所不明のため蘇生のための遺体回収も困難を極めるはずです。生存者も余命いくばくもない状態で迷宮内でふるえているのでした。私はコントローラーを手にしたまま、ただ呆然としていました。

「う、うそだ…まさか… こんなはずはない…」

 小学1年生でも、これほどひどいデータにしてしまうことができるのでしょうか。それとも、次元の裂け目から「魔王」が現れ、データを混沌の渦に放り込んでしまったとでも? 事情を知らない従弟を怒る訳にもいかず、ゲームにムキになる自分が情けないやら、とはいえお亡くなりになったキャラたちは不憫だし…複雑な感情の波をかき分け、とりあえずデータの整理を始めたのでした。(T_T)

 それ以来、私はこの従弟を「魔王」と呼び、彼が出現しそうな日は気をつけるようになりました。思い返せば、彼は幼い頃から私がゲームをしている姿をそばにいました。そして、大事な時に限って災害を引き起こしていたような気がします。いい場面に限って「魔王」は近寄ってきてゲーム機を蹴ってしまいハングアップさせるのです。私が呆然としていると、彼は「どうしたの?」と無垢な瞳で問いかけてきます。「なんでもない…なんでもないんだよぉ…(心の中で号泣)」と私。

 もしもル・ケブレス様にリルガミンの災厄の原因を問えば「無垢デアリ純粋ヨリ来タル悪意ナキ悪意ナリ」と答えるやもしれません。悪気がないのが最も悪い、という言葉もあるし、それが真実やもしれません。

(ASCII,ここではファミコン版)

2023/11/18

愛はさだめ、さだめは死

 胸の痛みは甘く切なく、そしてほろ苦い

 「女性のヘミングウェイ」とも評される作者の短編集です。出版当時は編集者の前にも姿を現さない、謎の作家でした。その経歴はこれまた波瀾万丈で… そういうのは本の後ろにある解説に任せて、ここではその特異な数々の物語についてお話ししましょう。

 彼女の作品には、交流は出来ても決して同じではないといった「異質なもの」への接近をはかる、というような傾向が強く、その中には「男性」も含まれているのです。決して相容れぬもの、強くともはかない女性とたくましくとも哀しい男性、知性の中に潜む本能におびえ、かろうじて理性を保ち続けることなどなど、いささか重くなりがちなテーマをSFという形で臆面もなく表現しています。本を読みながら現実に戻ろうとしても、どこかで声がするような…「どんなにあがいても遺伝子の叫びに逆らうことはできない」と。

 まるでカマキリの雄が雌に食べられる覚悟について理解できたような、変な感覚です。

 私がお気に入りなのが「エイン博士の最後の飛行」「男たちの知らない女」「断層」です。「エイン博士の最後の飛行」は、物語の最後の瞬間の時点から語られ、何も知らないうちに読者は決して逃れられない深淵に引きずり込まれてしまう表現方法に驚き、こんなストーリーテリングもできるんだ、と感心しました。「男たちの知らない女」は作者最大の問題作といわれ、フェミニズム運動の盛んなアメリカではショッキングな受け止められかたをされたようです。女性の持つ残酷なまでの潜在力、現実的であるが故に衝撃的な結末。恋愛について当たりクジに恵まれない私には、身につまされる内容でした。「断層」は、普通のSFふうに展開しますが、「決して届かないのに、いつまでも手を伸ばそうとする」様子の表現が、私の心の奥底の琴線に触れてしまった(何なのかはちょっと言えません)のですが、珍しくハッピーエンドなのがほっとさせてくれました。

 この短編集はちょっと難しいかもしれません。これから彼女の作品を読もうと思っている人には「たったひとつの冴えたやり方」を入門編としてお勧めします。

 彼女の作品について、いずれかの機会にページを割こうと思っています。彼女の作品にはまだ未訳のタイトルもあるようですし、全部の作品を紹介できないかもしれないですけれど。
(ジェイムズ・ティプトリーJr,ハヤカワSF文庫)

Amazonで注文できます

2023/11/15

Video Capture Board: Canopus Power Capture PCI

 キャプチャが出来ない/キャプチャしたファイルが再生できない(50% 解決)

 これは、新しい VGA(Canopus ZXR-128A GTS) を導入した時のことです。同一メーカーなら相性もいいだろうと判断して購入しました。これまではキャプチャ画面をビデオ出力で別モニタに出力していたところを、同じディスプレイでオーバーレイしてキャプチャできるような機材が揃ったのです。

 とりあえず、テストがてらに以前キャプチャした映像を再生しようとすると、画面がフリーズしてしまったのです。キャプチャした他の映像でも再生できません。1コマ目が画面に出た瞬間に止まってしまうのです。

 逆も、また然り。キャプチャしようとすると、映像の1コマ目を記録した瞬間も同じく画面がフリーズしてしまうのです。

  • キャプチャボードが Windows98 や AGP ボードに対応していない?
  • AGP ボードがキャプチャボードに対応していない可能性?
  • 各ドライバに問題があるかも?

 そこで、Canopus のWebページに行って、Windows98 関連での不具合が報告されていないか確かめました。その時ついでにダウンロードしたツールを使い、AGP ボードでもオーバーレイ表示が行えることを再度確認しました。そして、AGP ボードとキャプチャボードの各ドライバが最新のものであるかチェックしたものの、修正点は見あたらず。これ以上疑うとすれば、K6-2 300 やメインボード P5A との相性問題となるでしょう。キャプチャボードの買い換えも検討しました。

 そこへ友人の「DirectX は?」の一言。なるほど、DirectX 6.0 を入れているところへ試しにDirectX 5.2 をインストールしてみると、問題なく再生/記録が出来ました。でも、ちょっと不満点が残ります。DirectX 6.0 でサポートされた機能が生かせないことになるのはちょっと痛い。だから、引き続き原因究明したいと思っています。せっかく買ったんだからちょっと手伝ってもらえますか>Canopus さん

2023/11/14

Diablo

 Diablo という悪魔

 悪魔のようなゲーム、それがこのゲームです。シンプルな構成、豊富なアイテム、独特の雰囲気、直感的なインターフェース、そしてネット対応という、至れり尽くせりという内容は全世界で好評を博しています。特にマルチプレイ対応は様々なエピソードを生みだし、往年の名作Wizardry、Ultimaに匹敵する地位を獲得しました。

 ジャンルとしてはアクションRPGに入りますが、古典ゲーム「Rogue」の影響を強く受けています。迷宮がランダムで生成されていたり、イベント(何種類かあります)もランダムで発生しており、Unique(1つしかない)アイテムもあったりなかったり、意外なタイミングで入手出来たり… とにかく飽きさせない工夫がされています。

 Diabloは4人までのマルチプレイに対応しており、LAN内でゲームすることもできますが、やはりウリは「Battle.net」でしょう。世界各所にサーバが置かれており、そこでメンバーを募って冒険することもできるのです。中には冒険するだけでなく「デュエル」といってキャラ同士の対戦モードも備えています。…中にはこの機能を悪用する人もいるのですが。
 さらには拡張キット「Hellfire」も発売され、追加キャラクタークラスや追加アイテム、追加のストーリーが冒険者たちを待ち受けてます。

と、まあ独りでするより2人で、2人よりもネットで遊んだ方がドラマチックにな(ることもあ)ります。これからも色あせることないであろう傑作です。
(BLIZZARD,Win95・Mac・日本語版はPlayStationのみ)
Battle.netにて復刻版が収録されました。「Hellfire」も同梱されています!

2023/11/13

彗星の核へ

 届かぬ想いを乗せて、遠ざかる気持ち

 西暦2061年、人類はハレー彗星に調査隊を送り込み、太陽系の謎と彗星の資源を手中に収めようとした… 各調査隊員は胸中に様々な思惑を巡らせながら、76年後の帰還を夢見ていています。でも、世界中のあちこちから様々な思想や感情を持った人々がうまくやっていけるでしょうか。この物語は、探検隊の冒険小説的なものではなく、どちらかというと人間ドラマ的な展開が多いです。

 主人公にあたるのは2人の男性と1人の女性。ハレー彗星調査隊の前に立ちはだかる様々な困難を共に乗り越えつつラブコメをしてます。活発な宇宙飛行士カールと年上で渋めな医師サウル。その2人に愛される数学者ヴァージニア(ただしコンピュータおたく)。相次ぐ非常事態で調査隊全体の存在意義が薄れゆく中、3人は重要な役割を果たしていくのです。

 私はしばしば、何かプレッシャーを感じたり、抜け道のない袋小路に入ってしまったような気持ちの時にこの本を読むことがあります。想いが通じないこと、それでも必死に人間らしさを失うまいとする様子をみていると、なんだか元気が出てくるような気がするからなのです。揺れる心、それでいて自分に嘘をついたり、遠ざかる気持ちの中に未練が残っているといった、「人間って不思議な生き物ですね」といいたくなる場面がよく見受けられます。

 たまたま同じテーマで小説を書こうとしたということで、作者の2人は意気投合してこの物語が書かれたそうです。「これはどちらが書いたんだろうな」と判るシーンもありますが、あまり作風の違いがはっきりと分かれてはいないので、うまい具合に物語の展開のリズム感が出ていると思います。また人種間の確執、思想や文化の違いから起こる緊張感など、共作だったからこそうまく表現できたのではないでしょうか。

 ちょっと厚めの分量ですが「ひたる」には丁度いいと思います。氷づけのハレー彗星を感じるために、夏なら冷房を強めに、冬なら暖房を弱めにしてからどうぞ。
(グレゴリー・ベンフォード&デイビッド・ブリン,ハヤカワSF文庫)

Amazonで古書発注になります。上巻はこちら、下巻はこちらです。

2023/11/12

導入してみて感じたこと

 WindowsCE マシンは「PCコンパニオン」という位置づけで、親機となるPCがあることが前提となっています。逆に言えば、自宅のPCのデータをわざわざ全部持っていくことはないという考えのようです。
 WindowsCE マシンとPCを接続しデータをやり取りするためには「WindowsCE サービス」というソフトをインストールしなければなりません。WindowsCE は Windows9x や WindowsNT とは見かけは似てても全然違うOSなので当然といえば当然です。最初に「WindowsCE サービス」をインストールする時だけは絶対にシリアルケーブルで接続しなければいけないというのはどうもいただけません。LAN 接続でも認識できるような配慮は欲しかったと思います。シリアルケーブルでの転送速度はフロッピー以下に感じられ、本当に接続できたか不安になるのです。シリアルケーブル接続で WindowsCE マシンのバックアップを取ろうものなら半時間はかかります。私は雑誌などで「LAN 接続が絶対いい」と勧められていたので最初から LAN カードを購入していたのですが、やはり転送速度は満足いくもので、二度とシリアルケーブルで接続する気がおきなくなりました。
 さて、データのやり取りは自宅でならまだしも職場でも有効に利用したいというのが人情でしょう。職場のPCって大抵「やたらにソフトをインストールするな」という暗黙のルールがあるので、WindowsCE サービスの導入をためらってしまうし、LAN 接続というと IP アドレスがきっちり管理されているので接続は難しそうです。せめてフロッピーでやり取りできればと思ったのですが WindowsCE に対応できるフロッピードライブがたった一つしか発売されていない(しかも USB 接続だから私のマシンでは無理)のです。そして、最も重要なことは WindowsCE サービスをインストールしようにも私の職場のマシンはOS/2ですからインストールできないということです。
他のOSに器量が狭いといつか苦労するぞ、マイクロソフト!

2023/11/11

さめがめ

 中毒性の高いパズルゲーム

 パズルゲーム「さめがめ」は、元祖 UNIX 版を始め各種OSに対応し、スーファミにも移植された名作です。「SameGame」と書いて「さめがめ」と読むわけは PC-9801版のドキュメントからのようです。

このゲームをできるだけ多くの人に楽しんでもらいたい、そう思った私は作者に了解を得てMS-DOSに移植した。作者の響人氏とは大学のBBSを通じて知り合いだったため、心よく了解していただけた。

こうしてできたのがこの「Same Game・98版」です。みんなで、「さめがめ」って呼んでね☆(笑

(W.Yossy 氏, PC-9801版「same.doc」より)

 私はパズルゲームがあんまり得意ではありません。やるとすれば、ルールが簡単で短時間で終わらせることの出来るゲームです。そんな中でもこの「さめがめ」は秀逸で、ルールは以下の通りです。

  1. 縦か横に連続する駒を消すことができる(斜めはダメ)
  2. 駒を消すとその上にある駒が下に落ちてくる
  3. 縦一列に駒を消すと右から左へ詰められる
  4. 一度にたくさん消すと高得点
  5. 駒を全部消すとボーナス点が追加される

 さめがめ人気の秘密は、ルールのシンプルさにあるのだと思います。また、一定時間内に終わらせないといけないとか、何分間で終わらせられるかというタイムトライアル性がありません。じっくり考えて駒を消す人、手あたり次第に駒を消していく人、どんな性格の人にも向いていると思います。

 このゲームで始めて遊んだ時、何となく駒を消していたのが段々とハマり出して気がつくと何度も遊んでいました。「…おもしろい!」友人にも勧めるとやはり好評で、あっという間に広がっていったのでした。

 また、さめがめの駒データを差し替えて、気分を変えて楽しむことが出来ます。Windows 版からは駒データの作成が簡単になったので、色々と発表されています。


※「さめがめ」はベクターで入手できます。

2023/11/10

猫のゆりかご

 猫はいない、そう思いこんでいるだけ

 奇才カート・ヴォネガットJr.は独特の作風で、誰も真似できないし、真似しようとも思わないと言われていますが、特にこの作品は物語の最後が全く見通しがつかない迷作です。「猫のゆりかご」とはいわゆるあやとりのことで、いないはずの猫をあやとりの中に見るように、この世界もまたあってないようなものなのだ、というクールな視点で物語は展開していきます。

 主人公はとある本を執筆中で、その取材対象者にインタビューを試みようとします。ところが、その取材対象者たちは変な人ばかりで、肝心な情報を持っている人は小さな南島の独立国にいるのです。主人公はそのうちに「ボコノン教」という変てこな宗教に出会います。その教義や思想がこれまた変てこで、私も一時期感化されてしまったほどです。他にも、ブラックユーモアに満ちた様々な出来事、妙な楽屋オチ、作者の他作品から登場人物が顔を出すだの、持ち寄りパーティで集まった多種多様のオードブルさながらの演出がさらに物語の混迷を深めさせています。読む人を選んでしまう本の部類に入ると思いますが、そのストーリーテリングや独特の雰囲気はクセになると手離せなくなってしまうでしょう。

 作者カート・ヴォネガットJr.はあまりにもシビアで数奇に満ちた人生を送ってきた人で、ほのぼとした雰囲気でいながら残酷でシビアな物語を書けるのも、やはりそうした過去の引っ掻き傷のせいかもしれません。彼の著作は他にもありますが、どれも妙に現実的かつ「こんな奴いねーよ」という感覚が混ざり合っているものが多いです。

 物語の結末は救われない状況となります。でも、妙なユーモアを忘れない作者はちゃんと最後まで皮肉を忘れません。ラストシーンは、私はとても気に入ってます。確かに、真似したくないけど真似る訳にいかない。ただの一読者で良かった、と。
(カート・ヴォネガットJr,ハヤカワSF文庫)
Amazonで注文できます

2023/11/09

特捜!旧国民機互換機(その1)

 メモリがない!

「要らないマシンをもらいませんか?」という同僚の申し出をふたつ返事で引き受け、ただでPCを手に入れました。性能は今では良いとはいえないものですが、パーツを買い足して無理矢理 Windows95 を動かすなり、FreeBSD の実験機として使ったりするくらいならできると思ったからです。

 そのうち、アキバでメモリを買ってきました。メルコ製でちゃんと対応機種「PC-486SE」という記述がされているのを買ってきたのですが… あれ? メモリを取り付けるスロットがない!

それもそのはず、PC-486SE はあらかじめメモリ増設用ボードを取り付けておかねばならないのです。そんなこと、メルコさんのメモリのただし書きには書いてないぞ… せめて「486SEにはメモリ増設ボードが必要です」ぐらい書いてあればいいのに、ずるいぞ!

 そこでPC-98x1シリーズの改造の参考書として、名著「PC-98パワーアップ道場」(ソフトバンク刊)を手に入れ調べてみると… メモリ増設ボードとしていくつかの製品が挙げられていたので、紙に控えてアキバに繰り出したのですが、いかんせんDOS/V全盛の今では旧国民機は風前の灯火。ましてや互換機専用の周辺機器などめったに見つかりません。たかがアキバ、されどアキバ。それなのにアキバ。

 いきなり使い道のない32MBのメモリを抱えて(それも定価で買った)私はどうすればいいのでしょうか… 下調べしなかった私も悪いけど。

※「PC-98パワーアップ道場」はAmazonで注文できますが、プレミアがついてておすすめできません。

2023/11/07

ボムビー

 パドルゲームの魅力

 このゲームも稀少で、設置しているゲームセンターはないといってもいいでしょう。ですが、Playstation用ソフト「NAMCO Musium Vol.2」に収録(*1)されています。興味のある方はプレイしてみるといいでしょう。

 パドルゲームの魅力はやはり「破壊」につきると思います。世界最初のアーケードゲーム「BREAK OUT(いわゆるブロックくずし)」もそうでした。私が思うに、パドルゲームの隠されたもうひとつの魅力はあのコントローラにあると思います。

 なにより、スティック型(*2)のコントローラと違い、指先の動きだけで画面のパドルが俊敏に反応するのが特徴的です。とても繊細な動きですが、「右、左」という動きのためゲームルールをシンプルにしやすいのです。思い起こせば私の師匠(*3)も当時は「スペースインベーダー」よりは気楽にできる「BREAKOUT」を好んで遊んでいたと記憶しています。

*1: 初期状態では「キューティーQ」なので、とりあえずキューティーQを選択します。すると、テストパターンが表示されるのですかさず1プレイヤー側のコントローラーの○ボタンを7回、□ボタンを6回、×ボタンを5回入力すると「ボムビー」に切り替わります

*2: 昔は「レバー」と呼んでいたような気が…「ジョイスティック」というのも登録商標のようですし。

*3: 私より4歳年上の知人で、よく私をゲーセンに連れて行ってくれた方です。最後に会ってから久しいのですが、お元気でしょうか…

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