世界は人間を求め、人間は伝説を求める
核戦争後の世界を舞台としたポスト・ホロコーストの名作です。ケビン・コスナーの監督・主演の映画は興行的には成功とはいえず、評論家たちには散々にけなされてしまいましたが、原作の内容をすべて収めてしまうよりはよかったのではないかと思います。また、品切れで入手難のところを再版させるきっかけとなったので、許してあげましょうか。
登場人物たちは悩みを抱えながら、秩序を取り戻そうと努力しています。それまでは力が正義であったところを、郵便配達網を復興させることで人間同士が心を通わせることが大事なことだとうったえていきます。しかし、大事なことの裏側にある真実は、およそ理想とかけ離れているのです…
不必要な真実も存在する、でも我々は先へ進まねばならないのだ、というように主人公ゴードンはためらいながら郵便を配達します。そんな中で出会う人々と交流を深め、様々な出来事に立ち向かい、そして彼の運命を変える女性と出会うことになります。誰もが昔を懐かしみ、振り返る中、人々は厳しい現実との正しい向き合い方に気づいていきます。そしてゴードンは、残忍非道であり狡猾なサバイバリスト達との血みどろの戦いの中で、伝説となっていくのです。被害もひどく、あまりにも失うものが大きかったとはいえ。
この本を読み終えたとき心の中で「じわっ」とか「ほろっ」とくるような感覚があれば、この本が泣き所を突いてきたと思って下さい。ケビン・コスナーだって、きっとこの感覚を伝えたくて映画化したのだと思います。彼が原作のいいところを残そうと悪戦苦闘している様子が目に浮かびます。映画を見た人も、見てない人も、原作さえ読めば納得いくはずです。特に映画しか知らなかった人は、絶対に読んで下さい。
読み終えた時の BGM として ASIA の "Voice of America"(アルバム 'ASTRA' 収録) を流すことをおすすめします。きっと心地よい余韻に浸れると思います。映画のエンディングあたりに使われていたら最高だったのに… でも、あの出来だったから… まあ、いいか。
あと、ゲーム「デス・ストランディング」(2019年)をやったことのある人も、この本を読むことをお勧めします。おそらく、小島監督もこの作品を読んだと思いますから…
(ディビッド・ブリン,ハヤカワSF文庫)
こちらで原作本を注文できますよ
ASIAのアルバム"ASTRA"はこちらで
ゲーム「デス・ストランディング」はPS4、PS5で発売中
0 件のコメント:
コメントを投稿