2024/03/12

悪の論理

悪とならぬ様、悪に向き合え

 冷戦も佳境に入った1980年代に書かれたこの本を今読むと、時代遅れの感がしないでもないのですが「当時の状況を顧みるに、こういう分析もあったのだな」とだけ受けとめるよう心がけ、本の内容に囚われないように気をつけました。

 国家戦略にはその国自身の「地勢」が大きな影響を及ぼしている、として理論を展開する地政学は20世紀の戦争やその後の混乱を引き起こした元凶のひとつとされています。そのため戦後の日本では「タブー」視され黙殺されているような状態です。読み進めていくと、確かに取り扱いに注意を払わないといけない「アブない」概念ではあります。しかし、なぜに支持されたのか、なぜにタブー視されるのかを知る手段は残される必要があると思います。ちょうど、詐欺のやり口に対抗するために詐欺の手口を学ぶというようなものでしょう。今もなお「地政学」に基づく戦略を持つ国家がある限り、その意図を理解できないまま争いに巻き込まれるよりは、予防手段のひとつとして掴んでおく事が大事だと思います。

 当時の為政者や軍人たちは「地政学」を原子力と同じく使い方を誤ったかと考えられます。そうでなければ、何が正気で何が狂気であるか判断ができないほど、さらに愚かだったことになると思います。

(倉前盛通,角川文庫)

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