うちあたいのクレメンス氏
「トム・ソーヤーの冒険」「ハックルベリィ・フィンの冒険」などで有名な作者ではありますが、「王子と乞食」やこの本のような「王制風刺もの」もあります。なぜマーク・トウェインが王制もの(それもイギリス)を書いているのか、読み進めていくうちになんとなく感じたことがありました。
──マーク・トウェインは王制もので奴隷制を風刺しているのではないか?
ときは南北戦争まであと何年ぐらいといったアメリカ「南部」。広大な土地と奴隷による高収益、まるで「貴族」のような暮らしを送る白人たち。英国という「王制」から独立して何年というが、やっていることはアメリカ独立精神とは180度違う封建制度のような社会ではないか…と。
マーク・トウェインは奴隷制の批判をしたり、奴隷解放運動に積極的だったという逸話はなかったらしいのですが、生まれ育った土地柄などであからさまな言動を控えていたのだと思います。それでも、矛盾した世間に対して王制風刺といった形で批判せずにいられなかったのではないでしょうか。マーク・トウェインことクレメンス氏の「うちあたい」している様子が見えるような気がします。この本をおかしく読み進めながら19世紀のアメリカに重ね合わせてみると、なんとも重たい読後感となってしまいました…
※「うちあたい」とは沖縄の方言で「非難していることに自分も含まれていることに気づいた状態」のことを言います。「自分のことを棚にあげて人を叱りながらも、自分の良心にも感じるチクチクした痛み」という例え方をしている人もいます。
(マーク・トウェイン,創元推理文庫)
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